雪の中の記念館

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皆さん、明けましておめでとうございます。
このお正月はいかがお過ごしでしたか?
今年も皆さんにとって素晴らしい一年になりますようにお祈り致します。

さて、話は昨年12月末のこと。
各地で大雪になりちょうどそんなときに青森駅に降り立ってしまった。青森駅から東へ、浅虫温泉を過ぎたところに小湊という駅がある。そこからしばらく山を登ったところに、かつて手がけた展示施設がある。今回は旅行がてらぜひここに立ち寄り、皆さんに紹介しようと思ったのだが、この大雪ではとても無理だ。せっかくここまで来たのにと思いつつもあきらめ、何かないかと調べてみると「棟方志功記念館」を見つけた。ではここに寄ってみよう!

ご存知の方も多いと思うが棟方志功は青森市内の生まれである。慣れない雪道を歩いて40分、雪の中にひっそりたたずむ記念館に到着。まずは棟方志功の紹介ビデオを見た。なんともいえない彼の優しい表情、絵の神が乗り移ったように情熱的に作品を彫る鉢巻姿が印象的だった。鍛冶屋の息子に生まれた彼は小学生の頃小川に落ち、目の前に偶然見つけた美し白い花を見て感激し、絵を描こうと思ったそうだ。それ以来独学で油絵を勉強し、のちに川上澄生の版画に感激し志功自身も始めたそうだ。志功は版画のことを板画と呼んでいる。彼の板画を見るとそれがよくわかる。板の温もりや力強さを感じるからだ。また、裏彩色という紙の裏から絵の具を染み込ませる技法は、なごやかでやわらかくほのぼのしたものを感じる。印象的なのはもちろん技法だけでなくそのモチーフだ。彼が好んでモチーフにしたもののひとつに、ひたいに白毫(びゃくごう)のある観音様がある。白毫とは仏像のひたいにある丸いものであるが、「これを描くと不思議なもので、観音様になるのだ」と語っていた。母親を10代で亡くしたからか、彼の描く女性は目が大きくふくよかな優しい母性が感じられる。そんな作品は40歳を過ぎてから海外で評価され、その後日本でも有名になった。志功はゴッホが好きで、ゴッホのようになると幼いころから言っていたようだが、自由奔放で情熱にあふれた作品は、ゴッホと共通しているようにも思える。また、晩年、ゴッホの墓を真似て自身の墓を作り墓碑銘を書いたが、翌年彼はその墓に眠ることになったそうだ。

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今回はたまたまこの記念館に立ち寄ったのだが、鎌倉にある棟方板画美術館は閉館してしまったそうなので、ここで見ることができたのは良かった。さすがにこの雪で他のお客さんはなく、おかげで静かにゆっくり見ることができた。皆さんも青森に行く機会があったらぜひ立ち寄ってみてほしい。
さあ、東京に帰ろう。青森駅で駅弁を買って電車に乗り込んだ。

※青森県青少年の森 森林学習展示館
東津軽郡平内町大字小湊字新道46-56
TEL.017-755-3257 
https://www.pref.aomori.lg.jp/rinsei/seisyounen-mori/seisyounen-mori.html

※棟方志功記念館
〒030-0813 青森県青森市松原2丁目1番2号
TEL.017-777-4567
添付作品画像 飛神の柵 パンフレットから引用

榎本 幹男

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日本デザイン福祉専門学校グラフィックデザイン学科 STAFFブログ 先生や副手達の日常や仕事の話、学校の出来事やデザインのこと、趣味の話、普段聞けない思い…(笑)等々...
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